戦略・事業
顧客・競合・自社を見れば、勝てる場所は分かる?
3C分析3Cs model
顧客と競合と自社を同時に見て、顧客が求め、競合ができておらず、自社が得意なことを探す考え方の枠。
30秒でわかる
何に使うか
事業の戦略や商品の方向を考えるときに、どの顧客に何で勝つかを決める下準備として使う。
根拠はあるか
弱い。実務では広く使われているが、使うと成果が上がることを確かめた研究は今回確認できた範囲では見つからず、提唱者の大前研一氏も2010年に、自らの戦略論・フレームワークは「もはや成功を約束する方程式ではない」と書いている。
どう使うか
3つの枠を埋めて終わりにせず、最後に「どの顧客に、何で勝つか」を1文にできたかで、使えたかどうかを判断する。
- 顧客・競合・自社の3つを同時に見て、「顧客が求め、競合ができておらず、自社がうまくできること」を探すための考え方の枠。
- 提唱は大前研一。本人は出発点を『企業参謀』(1976年)としている。英語版 *The Mind of the Strategist*(1982年)で「戦略的三角形(strategic triangle)」として紹介された。『ストラテジック・マインド』は1984年の日本語訳。13678
- 根拠は弱い。広く使われているが、使うと成果が上がるという研究は見つからない。提唱者本人も2010年に「フレームワークはもはや成功の方程式ではない」と書いている。1
- 3つの枠を埋めて終わりにしない。最後に「どの顧客に、何で勝つか」を1文にできたかで使えたかを判断する。
- 「この会社が3Cで成功した」という話は、その会社自身が言っているかを確かめてから信じる。
手順と記入例は準備中です。上の「どう使うか」と、「要点」をご覧ください。
評価: 弱(考えを整理する枠としての実務での定着は厚いが、効果を検証した研究は見つからない)
- 効果の検証: 3C分析を使った企業の方が成果が良い、という研究は今回の検索で見つからなかった(英語・日本語とも。網羅検索ではない)。見つかったのは解説記事、教育サイト、百科事典的なページだけ。
- 理論の性格: 「顧客・競合・自社の関係で考えよ」という主張は、実証された法則ではなく、コンサルタントの実務経験から生まれた考え方の型。外れにくい代わりに、使い方の質で結果が大きく変わる。
- 提唱者自身の留保: 大前氏本人が同じ2010年の記事で、『企業参謀』で示した戦略論やフレームワークは洗練されてきたが、「もはや成功を約束する方程式ではなくなっている」と書いている(無料部分で確認)。1
- 既存解説の「弱い・議論あり(実証研究はほぼない)」は妥当。
うまくいかなかった例と批判
- 提唱者本人: 「(『企業参謀』で示した)戦略論やフレームワークは、もはや成功を約束する方程式ではなくなっている」(2010年、上記記事)。理由の詳細は有料部分で未確認。1
- 学術的な批判論文や「3C分析をやめた」という組織の公表例は見つからなかった。
- 実務上の限界(顧客を一塊で見る、競合を同業に限って代替品を見落とす、自社評価が甘くなる)は既存解説に書かれているが、出典つきの批判としては今回確認できていない。
① 組織自身が使ったと公表した例(数えるのはここだけ)
- なし。 組織が「自社で3C分析を使った」と自ら公表した例は、今回の検索では見つからなかった(未確認)。中期経営計画・統合報告書・自治体計画を対象に日本語で複数回検索したが、出てくるのは解説記事とテンプレートばかりだった。
- 公開ページで「◯◯社が3Cで成功」と書く場合は、その会社自身の発言を確認できるまで載せないこと。
② 研究・評価として公表された試行/研究報告における実施例
- なし(確認できた範囲で)。
③ 近縁実践・参考例(原典との対応未確認)
- なし(確認できた範囲で)。
④ 手引き・解説(使用実績ではない)
- 提唱者本人の説明と公的機関の解説は、次の「活用ガイド」節にまとめた。
まとめ: 組織自身が使ったと公表した例は「なし」。
使い方の手引き(使用実績ではない)
- 原典(日本語): 大前研一『企業参謀――戦略的思考とはなにか』。初版はダイヤモンド・タイム社1976年(NDL)。講談社文庫版(1985年)、プレジデント社版(1999年)などがある(NDL 検索結果一覧で確認、各版の個別書誌は未開封)。現在入手できる版は未確認。
- 英語版: Kenichi Ohmae, *The Mind of the Strategist: The Art of Japanese Business*, McGraw-Hill, 1982。
- 英語版の日本語訳: 『ストラテジックマインド――変革期の企業戦略論』田口統吾・湯沢章伍訳、プレジデント社、1984年。
- どの本の何頁に「3C」「戦略的三角形」が出てくるかは、原書未開封のため未確認。
原典で確かめたこと
- 提唱者: 大前研一(当時マッキンゼー)。本人が書いた記事(プレジデント 2010年11月1日号、Web掲載 2012年9月24日、無料部分を確認)で、「自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)という三者の視点から相対的に事業環境を分析し、戦略立案することの重要性も説いた。今日…『3C』の概念もここが出発点だ」と、出発点を『企業参謀』としている。マッキンゼー入社後に書き留めたメモを活字にしたもの、とも書く。1
- 日本語の原典と年:
- 『企業参謀――戦略的思考とはなにか』ダイヤモンド・タイム社、1976年、217頁(国立国会図書館の書誌で確認)。本人記事も「プレジデント社刊・1976年」と書く。13
- 『続・企業参謀――戦略的経営計画の実際』ダイヤモンド・タイム社(プレジデントブックス)、1977年、221頁(NDL 書誌で確認)。本人記事では KFS(成功のカギ)の連鎖は『続』に出てくるとしている。14
- 「1975年刊」とする記述もある(Thinkers50 の書評ページ「日本で1975年に出版され、米国には1982年」、確認済み)。NDL で見られたのは1976年の版で、1975年の版は未確認。5
- 英語版: *The Mind of the Strategist: The Art of Japanese Business*, McGraw-Hill, New York, 1982, xiii+283頁(archive.org の書誌で確認)。講演エージェント Leigh Bureau の書籍紹介ページ(確認済み。大前氏との関係は未確認)は、「顧客・競合・自社の3つのCを strategic triangle(戦略的三角形)として統合して初めて持続的な競争優位が得られる」と紹介している。67
- 『ストラテジック・マインド』: 英語版を日本語に訳し戻したもの。『ストラテジックマインド――変革期の企業戦略論』大前研一著、田口統吾・湯沢章伍訳、プレジデント社、1984年1月、315頁(NDL 書誌で確認)。新潮社版は1987年5月(NDL 検索結果一覧のみ)。8
- 原典の主張(自分の言葉で): 本人記事によると、戦略とは「競争相手との相対的な力関係を、顧客の望む方向に、自社に有利で持続できる形に変える計画」。顧客・競合・自社の3者を同時に見て、相対的に考えることが核心。勝ち方として「成功のカギ(KFS)に基づく戦略」「相対優位に基づく戦略」「新機軸の展開による戦略」を挙げた。1
- 英語版で「戦略の4つの方法(KFS、相対優位、積極攻勢、戦略的自由度)」が挙がるという話は、Thinkers50 の書評など二次資料経由。原書の章・頁は未確認。5
出典
- president.jp/articles/-/7226 ↩
- www.pref.kanagawa.jp/documents/13111/905517.pdf ↩
- ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I45111101616049 ↩
- ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I23211009610070909 ↩
- thinkers50.com/blog/the-mind-of-the-strategist/ ↩
- archive.org/details/mindofstrategist0000omae ↩
- www.leighbureau.com/books/the-mind-of-the-strategist-the-art-of-japanese ↩
- ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001661335 ↩
各ページは確認日の時点で開けた資料にもとづきます。根拠の強さの決め方